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草壁シトヒ
くさかべしとひ
普通の会社員でブログ歴は10年以上。

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まだ使ってる?『禿同』の意味・読み方と死語認定の悲しい現実

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かつてのインターネット掲示板を賑わせた言葉たちを振り返ると、懐かしさと共に時代の変化を強く感じます。私が特に印象に残っているのが、今回解説する『禿同』という言葉です。

この言葉は、2000年代のネット文化を象徴する重要なスラングでした。しかし、現在では「死語」として扱われることがほとんどです。

この記事では、この言葉が生まれた背景から、なぜ使われなくなったのかまでを徹底的に深掘りします。当時を知る人も、知らない人も、ネットスラングの歴史として楽しんでください。

タップできる目次

『禿同』の正しい読み方と本来の意味

まずは基本中の基本である、読み方と意味について解説します。ここを間違えると、ネットスラングの文脈を理解できていないと思われてしまいます。

読み方は『はげどう』一択

この言葉の読み方は「はげどう」です。「どくどう」と読んでしまう人がいますが、これは間違いです。

もし「どくどう」と読んでいたなら、今日ここで記憶を上書きしてください。この読み方の正解は一つしかありません。

意味は『激しく同意』すること

意味は文字通り「激しく同意する」ことの略語です。相手の意見に対して、これ以上ないほどの賛成を示す時に使います。

単なる「了解」や「賛成」といった生ぬるい肯定ではありません。首がもげるほど頷くような、強い共感と連帯感を表す言葉です。

なぜ『禿』なのか|誕生のきっかけと普及の理由

なぜ「激しい」が「禿(はげ)」という漢字になったのでしょうか。これには、当時のパソコン環境と入力システムが大きく関係しています。

私がこの言葉の歴史を面白いと感じるのは、これが意図的な創作ではなく「偶然の産物」だからです。

全てはIMEの誤変換から始まった

実はこの言葉、最初は単なる入力ミス、つまり誤変換から生まれました。パソコンで「激しく同意(はげしくどうい)」と打とうとして、「はげ」で変換キーを押してしまったのです。

当時の日本語入力システム(IME)は、今ほど賢くありませんでした。「はげ」と入力すると、真っ先に「禿」という漢字が出てくる仕様だったのです。

2ちゃんねる文化との奇跡的な融合

この誤変換が、当時の巨大掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」の住人たちに大ウケしました。「髪の毛がなくなるほど激しく頷く」という後付けの解釈が、妙に説得力を持ったのです。

自虐的なユーモアを好む当時のネット文化において、「禿」というインパクトのある漢字は格好のネタでした。こうして、単なるミスが共通言語としての地位を確立していったのです。

視覚的なインパクトの強さ

画面上に並ぶ文字の中で、「禿」という漢字は異様な存在感を放ちます。真剣な議論の中でこの文字が出ると、場の空気が和む効果もありました。

入力コストの削減効果

当時はガラケーでポチポチと文字を打つ時代でもありました。「激しく同意」と打つよりも「禿同」の2文字で済むのは、圧倒的に楽だったのです。

現代では『死語』認定|使われなくなった3つの原因

残念ながら、2025年の現在において、日常的にこの言葉を使う人はほぼいません。私がリサーチした結果、これには明確な技術的・文化的理由があります。

もし今この言葉を使おうとしているなら、少し立ち止まってください。相手によっては「古い」「おじさん構文」と思われてしまうリスクがあります。

スマートフォンとフリック入力の普及

最大の要因は、デバイスがパソコンやガラケーからスマートフォンへ移行したことです。フリック入力に慣れた世代にとって、わざわざ漢字変換をするメリットがありません。

今のスマホは予測変換が優秀です。「はげ」と打てば「激しく」と正しく出ますし、「それな」と打つ方が圧倒的に早いです。

『いいね』ボタンによる言語の代替

SNSに「いいね(Like)」ボタンが実装されたことが、決定的なトドメとなりました。同意を示すために、わざわざ文字を打つ必要がなくなったのです。

共感したければ、ハートマークをワンタップするだけで済みます。言葉を入力するという行為自体のコストが、現代のUI(ユーザーインターフェース)においては高すぎるのです。

若者言葉の変化と共感のスタイル

言葉のトレンドが「議論」から「ゆるい共感」へとシフトしたことも見逃せません。かつてのような角張った漢字表現よりも、柔らかい平仮名の言葉が好まれるようになりました。

「それな」や「わかりみ」といった言葉のほうが、今のSNSの空気感に合っています。強い同意よりも、寄り添うような共感が求められているのです。

『禿同』の類語と進化系|ネットスラングの系譜

「禿同」が消えた後、そのポジションは別の言葉に置き換わっています。時代ごとにどのような言葉が使われてきたのか、整理してみましょう。

この変遷を見るだけで、ネットコミュニケーションの歴史が見えてきます。

時代ごとの同意表現比較表

以下の表に、代表的な同意スラングをまとめました。自分がどの世代の言葉を使っているか確認してみてください。

年代スラング特徴とニュアンス
2000年代禿同攻撃的かつユーモラス。男性的な強い肯定。
2010年代それな軽快な相槌。会話のテンポを重視。
2010年代後半わかるシンプルな共感。誰にでも通じる。
2020年代わかりみ「~み」をつけることで感情の深さを演出。

派生語としての『激同』

「禿同」と並んで使われていたのが「激同(げきどう)」です。こちらは誤変換ではなく、純粋な短縮形として存在しました。

「禿」という文字に抵抗がある層や、真面目な文脈ではこちらが使われることが多かったです。しかし、こちらも現在ではほとんど見かけなくなりました。

現代の『わかりみが深い』

現在、「激しく同意」というニュアンスを伝えたい場合は、「わかりみが深い」などが使われます。もしくは、スタンプやGIF画像を貼ることで感情を表現するのが主流です。

テキストだけで感情のすべてを伝えようとしていた時代とは、コミュニケーションの手法自体が変わったと言えます。

まとめ|言葉は技術と共に変化する

「禿同」という言葉は、不便な入力環境と独特のネット文化が生んだ、ある種のアートでした。それが消えてしまったのは寂しいですが、技術の進化による必然でもあります。

私がこの記事で伝えたかったのは、単なる言葉の意味だけではありません。言葉はデバイスやプラットフォームの仕様によって、生まれもし、死にもするという事実です。

もしあなたが古参のネットユーザーなら、たまには当時の仲間内で「禿同」を使ってみてください。きっと、あの頃の熱量が蘇ってくるはずです。

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